現在、好評配信中のアプリゲームウマ娘。
私も数年前の事前登録を経て、ようやく日の目を見ることができたゲームを空き時間を見つけては遊んでいますが、今回は私のサイレンススズカに対しての思い出をこの機会に書き留めておきたいと思って記載しております。
ゲームの攻略等はございませんので、それを目当てで来られた方は申し訳ございません。
競馬中継とゲームという仮想空間
夢中になって見ていた競馬中継をぱったりと見なくなったのはいつからだったろうか。馬券を買っていたわけではなく、ゲームの延長線上として見ていた競馬にまざまざと現実を突きつけられた瞬間があった。その瞬間をウマ娘プリティーダービーというアニメを見たときにふと思い出した。
その当時、私たち兄弟はダービースタリオンというゲームに夢中になっていた。
牧場を経営しつつ馬を育てて、良い牝馬、良い種馬で子を作り、賞金でさらに経営を拡大させていくようなゲームだったと記憶している。
今のようにネットでの情報収集が当たり前の時代ではなかったので、攻略本を見ながら強いと思われる馬を作っては兄弟で競わせてみたりして遊んでいた。
そのせいか、私はやけにシンボリルドルフやマルゼンスキーという種牡馬だった馬は詳しいが、実際に走っている馬はあまり知らないダビスタというゲームの延長上での競馬ファンだった。
馬券を購入できる歳でもなかったが、競馬中継を見て、今回はどの馬が強いとか前走はどうだったかと予想している◎や▲を見ては、ああでもないこうでもないと兄弟で言っていたことを思い出す。
プロスポーツの観戦をしているような感覚と似ているのかもしれない。
競走馬サイレンススズカとの出会いと別れ
画像はJRAレーシングビュアーより
ある日、いつものように兄弟で中継を見ていた時、ダントツの一番人気の馬が出るレースがあった。1998年11月1日第118回天皇賞、1枠1番人気のサイレンススズカが最後に走ったレースである。前走までのVTRを流していたのを見て、凄い馬だなあと思った記憶があるので、たぶんフジテレビを見ていたのだと思う。スーパー競馬だっただろうか。
今までリアルタイムで見たレースの中でも、現実離れしていると言っていいほどのパフォーマンスを見せていたサイレンススズカに、兄弟共々目を輝かせていた。まさに今、夢中なっているダービースタリオンから出てきたような馬が現実にいるのだという興奮があったのだと思う。どんな展開になるのだろう。
そのようなワクワクを煽るように解説者もサイレンススズカに期待を寄せるコメントが続く。「やっぱ大逃げかな」といっぱしの解説者のような話をしながら我々もレーススタートを待つ。騎手も武豊氏だったことも、我々兄弟を興奮させるひとつの刺激になっていた。ダービースタリオンをやっているものからすれば、安心の騎手であったからだ。
スタートまではおそらく何かで時間をつぶしていたと思うので、あまり記憶が無いが、そうこうしているうちにスタートの時間がきた。心の中ではもうどんな展開になるのか、どのくらい後続を突き放して勝つのかという期待だけが膨らむ。
その後はご存知の通り、圧倒的なスタートで後続を突き放し、素人目にも、これはもう届かないのではないかというくらい差がついた。「凄い」としか形容できないくらいの衝撃を受けたレースはこれが初めてで、レースに釘付けになった経験も初めてだった。サイレンススズカという競走馬に一瞬で虜になったと自覚があるくらいだ。
TVから聞こえてくる歓声も、どんどん大きくなる。後続を映すカメラが引いても引いても全て映らないくらい差が開いてしまっていた。しかし、大欅に隠れて一瞬、サイレンススズカが見えなくなった後、再びサイレンススズカが現れたと思ったら突然の失速。
兄弟揃って「え?」と。
何が起こったのか全くわからない。今までのTVの前の我々と競馬場で見ていたファンは勝利を確信してサイレンススズカの走りを見ていたはずなのに、これも現実なのだろうか。一瞬にして競馬場の中継も雰囲気が変わり、ゴールまでまでの直線では悲鳴と怒号のようなものも交じり始めた。我々兄弟はTVの前でサイレンススズカは大丈夫なのだろうかということを話していたと記憶している。その後、予後不良で安楽死処分となったということを耳にした時に、とても残念な気持ちになったのと、心に穴が開いたような気持ちになっていた。
現実はゲームとは異なる。
勿論そんなことは分別が付く年齢になっていたので理解はしていたが、この時から競馬に対しての関心が無くなったと思う。競馬に関心が無くなったというのが正解なのか、この出来事を忘れたいという自己防衛からなのか分からなかったが、アニメウマ娘プリティーダービーでサイレンススズカが劇中で天皇賞秋を走るエピソードが来るということで、改めてその時の天皇賞秋を映像で見直した時、はっきりした。
私はそのレースを改めて見た時、涙が止まらなかったのである。やはりあの時、私はショックを受け止められなかったのだ。
大欅を過ぎるのをもう見たくない。
これを書いている時も、若干、涙が出そうになっているが、つまりは約20年を経ても受け止められないくらいの衝撃が襲ったのだから、若い自分には競馬に関心を持つことをやめるという選択を取ったのも頷ける話だと思う。
アニメ ウマ娘プリティーダービーでのサイレンススズカ
そんな過去の古傷を完全掘り起こしてくれたウマ娘プリティーダービー。
劇中でのサイレンススズカも大欅を過ぎたあと、故障が発生してしまいますが、こちらは入院処置で済んでよかったと心から思いました。ツイッターでもかなり話題になっていたくらい、私と同様、物語の結末に皆さん関心があったようです。
そんな、サイレンススズカの注目が高まっている中、私がたまたま見た記事に、今回のサイレンススズカのストーリーに関してプロデューサーがインタビューに答えていたので、引用致します。
TOHO animationのプロデューサー伊藤隼之介氏
これは僕の夢ではなくて、競馬ファンにとってのあの先の夢は、僕が言わなくても自明で、天皇賞はきっと凄いタイムで勝ってくれたかもしれません。
ただ、全部が全部こうあってほしいだけでも物語は出来なくて……。それでいえば、サイレンススズカの事故自体を描くべきでないし……。でも、あった出来事は描きつつも
それを描かなかったら「サイレンススズカの物語」としては“ウソ”を書いていることになります。
「沈黙の日曜日」という有名な実況を使うという意見もあったんですけど、絶対にイヤだったんです。──なぜですか?
伊藤氏:
あの言葉をテレビで流すっていうのは、結構罪深いことだと思っていて、僕あれ聞いたら、絶対チャンネル変えると思うんです。
だから使いませんでした。出典:電ファミニコゲーマー 2018年6月9日インタビュー記事より
この記事を見たとき、とても共感を覚えました。たしかに、アニメで同じような予後不良というシチュエーションをとった場合は、見ている側も悲しい気持ちにしかならないし、私のように悲しい思い出が再び心に刺さる方もいるかもしれません。英断だと思いました。
今でもサイレンススズカの天皇賞秋VTRは見返したくないと思いますが、アニメのサイレンススズカの扱いで少し救われた気がします。
現在も人気上昇中
現在、職場でもウマ娘のゲームが流行っていて、サイレンススズカの名前が若い世代から聞こえてきます。私も天皇賞秋のことを聞かれたときは少し声を詰まらせながらもその当時の思い出を語れるくらいにはなれたようです。
ゲームは2021年3月現在、大ヒット中。放映中のアニメはトウカイテイオーの話が佳境を迎えているようです。トウカイテイオーも物語がある馬なので、どのように描かれるかは楽しみではありますが、私はトウカイテイオーのリアルタイム世代ではないので、そこまで深い思い入れ等はありません。
しかし、沢山の想いが詰まった内容になっていると思いますので、まとめて配信があった時に見たいと思っております。
それぞれの思いを乗せて馬は走っているということを改めて実感した最近の出来事でした。
*画像はTVアニメ『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』@uma_musu_animeより
まとめ
今回は自身のサイレンススズカに対しての想いを一度整理する為に記事として書かせて頂きました。
アニメもトウカイテイオーやライスシャワーが絡んできたりと最後まで目が離せない展開になっております。
まだまだ勢いが衰えないウマ娘プリティーダービーに今後も期待したいと思います。
稚拙な文ではありますが、最後まで読んでいただきありがとうございました。